モデルハウス日記

銘木選びと村篤設計塾。

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こんにちは!!

今回は、伊丹市に建築中の「重層の甍」いなほ工務店モデルハウスの玄関の式台や、一部棚等

に使用する木材の選定を行ったお話と、「重層の甍」の設計を行った「村松篤」先生の2019年

の設計塾、第3回目のお話です。

モデルハウスに使用する材木の内、テーブルや棚、式台、手摺等、構造材以外にも沢山の材木

を使用します。ほとんどの材料は関西(兵庫、大阪、京都、奈良)にて調達できるのですが、

寸法や色味等、その時期にて関西にて手配ができない場合があります。今回は、その一部を

村松先生のご紹介という事もあり、岡山県の中塚銘木店という創業200年の老舗銘木店にて

仕入れを行う事となり、村松先生と岡山迄行ってまいりました。https://e-meiboku.co.jp/

創業200年らしい面持ちの会社様です。わくわくします。

下の画像に写っている方は中塚社長様です。

岡山も戦時中空襲に見舞われたそうですが、一部の蔵は焼けずに残ったそうです。

蔵には物凄い数の銘木が所せましと並んでいて、建築関係者としてはパラダイスです。

神代杉等普段お目にかかる事のない材料も沢山在庫されていました。

木材の状態、節の位置、有無、色具合等を丁寧に説明頂き、用意頂いていた材木を確認してい

ます。この作業はとても楽しいひとときです。製材前の材料の為、見た目に美しさは解りませ

が、お互い製材後の状態を頭に浮かべて選びます。銘木は、木によって表情や色合いが変わり

、ここは経験が生かされます。

下の画像は玄関に使用する栗の木の板です。

通常は、栗の一枚ものを式台として使用する事は少し贅沢ではありますが、モデルハウスの顔

となる部分でもありますので栗の木を採用しました。お施主様のご希望がありば、この様に部

分的に(全てでも大丈夫ですが)良い木材を使用すると、家に対する愛着が増す事になります。

費用の関係上最高級品とはいきませんでしたが、小さな節がある比較的状態の良い式台を選定

しました。節の部分はひょうたんの形の埋木を致します。完成後が楽しみです。

ちなみに現在式台等に無垢の一枚物を使用することはあまりありません。

一枚物は反りや価格面に少し難があります。

費用面で、幅はぎと言われる何枚かを繋げる材や、突板を使用するケ-スが多いのです。

この「栗」という木は数ある材木の中でも硬い広葉樹の木で、電車の線路の枕木として使用

されるほどの強度を持っています。式台にはうってつけの材料です。

銘木店の表に回ると「銘木バ-」なるレンタルスペ-スを展開されていました。

銘木は昔とは違いあまり使われなくなってきています。新建材と言われる工場製品が現代

の建築にて増えている事が原因ですが、我々は少しづつでも使い続けようと思います。

素敵な面持ちです。木の香りは人々の癒しを補います!!

木材の選定後、折角岡山に来たついでとばかりに建築物の探索です。

中塚社長様は快く私たちのお付き合いいただき案内して頂けました。

最初に「前川國男」設計の岡山美術館です。

現在「岡山芸術交流2019」というイベントが岡山にて行われていて、芸術で溢れています。

岡山美術館にもオブジェが置かれていました。

 

壁にレンガの小口を見せて埋め込んでいる珍しい建築です。

レンガの小口も不ぞろいとなっていて、なんとも言い難い良さが演出されています。

色々考えてチャレンジされているのだと感心させられます。

次に、同じく「前川國男」設計の天神山文化プラザです。

玄関正面にコンクリ-トの彫刻がある珍しい建築物です。どの様に彫刻されたのか不思議な感

じです。コルビュジェの影響からか不明ですが、芸術と建物の合体も普段全く考えて建築して

いませんが、何処でやってみたいと思います!!考えてみると昔の家には「欄間」「書院」等

普通に一戸建ての中に芸術があり、庭にも「灯篭」等芸術が普通にありましたが、現代の家は

建築とは別次元の芸術が存在しない気がします。現代にあった芸術を探してみたいと感じまし

た。

玄関の感じは前川作品そのものの感じで、前川先生のパネルが飾られていました。

当然前川先生はお会いした事が無く、イメ-ジが沸きました。

いなほ工務店モデルハウス設計の村松先生も「前川國男」がとてもお好きで、前川建築の聖地

と呼ばれる青森県の弘前市に先日行かれたそうです。弘前市にはなんと前川国男建築が8つも

あるそうで、私も一度訪れてご紹介したいと考えています。

下の左の画像の穴はなんと空調用の穴となっています。大変そうな仕事です。昔の人は凄い!!

右2枚の画像は天井に注目下さい。星空を証明にて演出されています。少し黒い色の天井は星空

を現しています。この天井の星空は個人的にとても気に入りました。こんな設計を何処かで行

ってみたいと思います。単に模様ではなく、照明を使う所が憎い!!

住宅用でほし柄のクロスは販売されていますが、実際照明を使っての演出は夢があります。

係の方にお願いをして特別に屋上にも上がりました。係の方も前川先生のファンの方で、色々説明

を頂けました。村松先生とはなんとも言えない盛り上がり方です。ありがとうございました。

左の三角の白い物体は天窓となっていて、ホ-ルに明かりを届けます。

真上からではなく横からの光を天窓として利用するこの手法は、我々の建築する一戸建てにも採用

できないか検討してみたいと思いました。これなら雨にも強そうです。

右は玄関にある彫刻を上から移した画像です。これだけの彫刻を掘るのに一体どの位工期がかか

ったのかと、良くない事が頭をよぎります。

最後に左から、建築当初からある照明器具と特徴的な木の手摺、天窓を下から見た画像となっています。

手摺があまりよく映せていませんが、なかなかのデザインです。かっこいい!!

光の加減が絶妙な加減となっていて、明る過ぎず暗すぎずで素晴らしい!!

この日既に充実した一日を送っておりますが、まだまだ続きます。岡山を出て今回の設計塾が行われる

博多(福岡)へと移動しました。この日の宿泊先も建築のお勉強となるホテルです。

設計は20世紀を代表する建築家の一人であるイタリア人建築家の「アルド.ロッシ」が日本で初めて設計

したホテル「イル.パラッツォ」です。http://www.ilpalazzo.jp/aldorossi.php 

流石にイタリア人建築家の設計した建物の説明は無理な為、画像を沢山並べます。

中も外もイタリア!! 内部は改装が何度か行われているそうですが、外部は当時のままです。

色使いは「イタリア」を感じさせます。イタリアには行った事ありませんが、イタリアを感じます。

が、しかし、今夜はこれだけでは終わりません。

博多と言えばラーメン、水炊き、明太子、もつ鍋等美味しい物の宝庫ですが、今夜はなんと

「孤独のグルメ」に出た事のあるお店です。「博多一富」さんというお魚がとても美味しいお

店に行きました。勿論予約して!! 予約無だと中々は入れない人気のお店です。

場所は博多の歓楽街の中州の中にあり、細い路地の奥にあります。場所は非常に解りにくい所

ですが、この解りにくさがまた良い所です。

事前に色々リサ-チを重ねて懇親のメニュ-選びです。最初に付き出しにて貝のお料理でした

が、絶品です。鯖ゴマ、鯵納豆を注文しました。鯖ゴマも絶品ですが、鯵納豆は最高でした。

納豆は、ヒキワリの物で臭みは全くございません。これは関西でも出す店がないか帰って

リサ-チしたいと思いました。ちなみに鯖ゴマも後日別の店で食べましたがこの店の鯖ゴマは

別物だと感じました。全てのメニュ-が凝ってます。

九州ですので勿論焼酎を忘れずに注文!! 焼きぎんなん、おきゅうと(海藻だそうです)と至福の時

は続きます。お酒を飲めない(ゲコ)先生を後目に、つい飲みすぎた気がしています。食が美味し

いとお酒が進みます。先生すいません!!

そしてトドメに若鳥のスープ炊きと言う鍋料理と雑炊です。鍋もさることながらこの雑炊は凄

い!!水分が少なめになる迄煮込まれた少しドロッとした食感で、濃厚だしがあっさりした最高

の一品でした。帰る時の時間は10時を回っていました。美味しい時間は経つのも早い。帰り

にお店の方に「いってらっしゃいませ」と送り出されました。流石中州です。でも我々は粛々

と帰ります。そしてホテルのバ-でもう一杯!!

とても充実した一日となった訳ですが、お話にはまだ続きがごいます。この日宿泊したホテル

「イル.パラッツォ」の朝食は日本一に輝いた事のある九州食材バイキングがついていました。

が、しかし、疲れからか痛恨の写真の撮り忘れです。しかたないのでこんな感じです。

http://www.ilpalazzo.jp/breakfast.php

昨日に続き、沢山いただきました。美味しさのあまり!! 完全に食ツア-化しています。

盛りだくさんの一日でしたが翌日からは設計塾です。

この日のスタ-トも建築物の視察から始まりました。はじめに福岡銀行本店です。この建物は、

黒川紀章さんの作品で、大きな吹き抜け空間を設けたデザインが特徴的です。

実物はとても大きく圧巻です!! 現在この吹き抜け部分は様々なイベントや市民の憩いの場と

して解放されています。

続いて福岡市文学館(赤煉瓦文化館)です。こちらは辰野片岡建築事務所の作品で、明治末期に

建てられた煉瓦造りの洋館です。とても良い感じの洋館です。辰野さんと言えば東京駅のデザ

インが有名ですが、この建物は正にミニ東京駅です。天井が高い建築はやはり洋館が似合いま

す。逆に日本建築は天井が低い方が落ち着く気がします。

こちらの文学館の一回にてエンジニアカフェなる物を発見。普段縁のないお話ですが、

「生物の構造と生態」と言う特別講演会のお知らせを発見!!時間が無くとても残念でしたが是非

聞いてみたかった。構造と生態とお題目がとても気になって仕方ありません。建築に置換えて、

「建築の構造と生態」というお題でいつかディカッションできそうです。

この日昼食は、「博多うどん」ラーメンが有名ですが、実は博多の方もうどんは良く食べるそう

です。讃岐と比べ少し柔らかめの麺ですが、美味でした。

続いて「アクロス福岡」です。私は二度目になりました、秋のアクロス福岡はまた違った良さ

を感じます。いなほ工務店とも縁の深い「田瀬理夫」先生が手掛けた、ビルを覆う緑の山です。

この屋上からの景色は最高なのですが、「山」だけに、階段以外の道のりはありません。

これも田瀬先生の拘りです!!

このアクロス福岡は当初在来種のみをビルの片側に植樹し、アクロス山を作りました。その後

鳥たち等が福岡の在来種の種を運んできて、現在は物凄い品種の植物が育っているそうです。

ビルですが、山です!! いなほ工務店ではこの手法を一戸建てに落とし込んだ田瀬流外構工事を

得意としています。里山住宅博の外構、里山整備も田瀬先生のお仕事でした。

まだまだ続きます。大濠公園能楽堂にまいりました。

舞台はやはり「桧舞台」です。無地の桧のみにて作られています。柱はそうとうな太さで、四

方雅の背割り無の桧が使用されています。現在では中々揃わない材料です。

実際の「能」は見たことがないのですが、機会があれば見てみたくなりました。

設計は、大江宏建築事務所です。ちょっと解りにくいですが、樋が大型建築ならではの作りと

なっています。

下の画像は能舞台横の「特別室」です。特別に中に入らせて頂きました。外からは中が見えなくなって

います。どんな方が利用されるのか? そこは聞けませんでした。

関西にてお手軽に能舞台を見学する方法があります。それは兵庫県三田市にある

「三田屋本店やすらぎの郷」です。三田牛のステ-キハウスですが、なんと能舞台があるのです。

三田牛のステ-キハウスとあってとても良いお値段なのですが、お昼のランチタイムは少しお手頃で、

お勧めです。私も実家が現在三田市にある為何度か訪れました。夜は行った事が無く能は見ていませんが。

大濠公園を端から端へと歩くと、岡山で見た建物と同じ設計者の「前川國男」作品の美術館があります。

入口にはご存知草間彌生作品が!!

最近あちこちに作品がありかなり見慣れているのですが、あると思わず写真におさめてしまいます。

「インスタ映え」する所がやはり一流なのでしよう!! 最初に見たのは瀬戸内海の直島でした。

ここの美術館の特徴は外壁面です。コンクリ-ト作りなのですが、コンクリ-トを抑える型枠

に「タイル」を使用しています。珍しい形で建築で、難しい建築です!!

タイルは2種類使われていて、いわいる二丁掛とひし形のタイル型枠が使われています。

このあたりから歩きすぎの状態となりかなり疲れてきました。しかし流石は村松篤設計塾です。

まだまだ歩きます。「御菓子處 五島」と言う和菓子屋さんにまいりました。

柿沼守利さん設計の建物で、モダンな感じの建物でした。歩き疲れた所に和菓子屋さん!!

あまい物を食べない手はありません。とても美味です。このお饅頭とは別に「モナカ」が有名

なお店の為、いなほ工務店お土産にモナカを購入し、購入している最中に建物の中をじっくり

観察させて頂きました。ありがとうございます。

ブログにするのも大変な位の盛りだくさんの一日となりました。この日の夜は懇親会にて博多の

水炊きを頂きましたが、疲れて画像の撮り忘れです!! さてさて翌日は設計課題の現場を見る所か

ら始まりました。造成中の現場で、今回ホストの九州八重洲さん所有の土地です。

電車の線路が近く、上空には飛行機が飛ぶかなり難易度の高い設計課題の敷地でした。

当社の周辺はやはり伊丹空港の飛行機が普通に上空を飛んでいて、電車も多いため、比較的慣れ

た課題の為、私としてはやり易かった課題となりました。

九州八重洲さんのホ-ムぺ-ジは、http://www.kyushu-yaesu.co.jp/

現場視察後、九州八重洲様のモデルハウスをひとつ見学ました。

博多は現在土地の価格がかなり高いそうで、この建物の土地も20坪程ですが、土地、建物合わ

せて6000万円もするそうです。我々阪神間でも中々無い高級な所です。

福岡は九州中から様々な物かーや人が集まってきていて、海外からの観光客の方も多い事が土

地価格の高騰に繋がっているみたいです。関西より高いイメ-ジです。

博多では、ホテル風の内装が現在うけているそうで、都会的な暮らしをイメージされていまし

た。ちなみに、いなほ工務店は「木の家」を意識した家づくりの為、大変勉強となりました。

     

締めくくりは設計講義です。あまりの盛りだくさんの状態にて最後に設計講義で、精神破壊

です。しかしながら今回も新たな発見が多数あり、今後の設計に生かせそうです。

昨晩お酒を飲みながら、村松先生に「もっと面白い設計をしなさい」と言われ、思わず先生

に対して、「最近先生の設計も大人しい」と言ってしまい、その事を講義にて話されていました。

良く考えると先生はお酒が飲めない為「素面」だったのです。いやいや「失言」でした。

次回は伊丹市に建築中のいなほ工務店モデルハウスの「重層の甍」上棟編をお届け予定です。

11月20日に上棟をとり行い、無事に上棟できました。少し進んだ状態にてのご紹介となります。

忘れていましたが、この日の昼食はやはり「博多ラ-メン」食べました。

博多ラ-メンは、紅ショウガと辛い高菜が良く合います。替え玉迄してしまいました。

設計塾なので、本来建築の話が本題ですが、食べログ状態になってしまいました。

いなほ工務店ではこの「村松篤設計塾」に通い始めて4年目となります。今まで社員6名が

参加を経験し、来年は更に別の社員も経験予定です。普段設計行わない社員(現場監督、営業)

等も参加していて、とても良い勉強と経験を得ています。伊丹市に建築中の、いなほ工務店

「重層の甍」モデルハウス完成時には社員一同建物の魅力をお話できる状態になりそうです。

では。

 

 

 

 

 

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